太陽光発電の出力制御(発電ピーク時の電力余剰)やFIT固定価格買取期間終了後の出口戦略として、
ブロックチェーン技術を利用したP2P取引の検証が始まっています。
→参考記事:太陽光発電の出力制御リスクと出口戦略を考える
ここでは、ブロックチェーン技術を用いた電力P2P取引が、なぜ太陽光発電にとって注目をあびているのか?
簡単にまとめてみました。
なぜブロックチェーン技術が注目をされているのか?
従来の電力では、大型発電所から消費者(都市部が大多数)へ送電することが一般的でしたが、
太陽光発電や蓄電池などのの普及により、分散型の電力供給源からの送電が増えてきています。
さらに、電力小売り自由化により、発電事業者は電力会社以外への供給先を選択できる、という環境も整ってきました。
また、FIT終了後に、固定買取価格から自由価格取引となることが、
太陽光の発電事業者にとって、より高く売電できる環境を選択するのは必然と言えるでしょう。
こういった背景の中で、ブロックチェーン技術に注目が集まっています。
ブロックチェーンの技術内容については本記事では触れませんが、
その特徴である
・取引記録の改ざんが難しい
・二重払いが防止できる
・スマートコントラクト
を利用して、仮想通貨取引のほか、さまざまなサービスへの応用が期待されています。
(スマートコントラクトとは、『コントラクト(契約)を実行するためにコンピュータープロトコルによって契約締結条件の確認から履行までを自動的に執行させる』ものです。)
具体的な応用分野は、経産省が2016年4月に公表した以下の資料で見て取れます。
5つ目の事例の中に電力サービスも入っていますね。
すなわち、電力P2Pは経産省の後押しプロジェクトだということです。
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出典:経産省
上記であげた特徴(取引記録の改ざんが難しい、二重払いが防止できる、スマートコントラクト)は
もちろんブロックチェーンの大きな特徴ですが、この結果、管理者を必要とせずとも、
直接、供給者と需要者が取引できる・・・いわば 中抜きできる
ということが、太陽光発電事業者にとって、一番のメリットとなるでしょう。
すなわち、電力会社に7円~10円/kWhといった低価格で売電するのでなく、
直接消費者に売電することで、もっと高く買い取ってもらえる可能性が高まるのですから。
現在の一般消費者が購入している価格は23~25円ですから、15円~20円くらいでも、
十分メリットを感じてもらえる価格として売電できるのではないでしょうか?
IoT化する社会ではブロックチェーン化は必然の流れ
ブロックチェーンによる電力P2Pを推進している会社はいくつかありますが、
その中の1つ(株)電力シェアリング代表の酒井直樹さんの記事によると、
IoTの世界のトレンド
1.Connected:電力システムの流動化『IoTにより動き回るようになったグリッド(送配電網)』をコネクト(C)する必要がある。
2.Auto化:IoTによる電力システムの自動化
3.Share:IoTによる電力のシェア←ブロックチェーン技術の利用
4.Electric:電動化(ロボットなど)
は、ダイムラーベンツが提唱する車の流れであるCASEというトレンド
1.Connected:ドライバーとクルマ、そしてこれらをインターネット等を通じてコミュニティや社会とつないでいく。
2.Autonomous:自動運転
3.Shared&Service←ブロックチェーン技術の利用
4.Electric:電気自動車
と同じ潮流である、と述べられています。
そして、これらの中心に太陽光発電と走る蓄電池である電気自動車の普及があることは、疑いようがないですね。
我々、太陽光発電の事業者は、今後も臆することなく、
太陽光発電の普及に努めていきたいものだと思います。