太陽光発電は、九州電力地域で今秋から現実化し始めた出力制御が、
もはや最大のリスクとなったといってよいでしょう。

でも稼働している太陽光発電は、日本全体で3350.8万kW(2018年3月末現在経産省公表値)
これは、日本の電力供給源の3.7%にしか過ぎません。

経産省は2030年には太陽光発電の占有率を7%を目標としていますが、
その半分しか導入されていない段階で出力制御が始まっている、
すなわち電力は余っているということです。

 

すごく変ですよね。

 

このような状態で、固定買取価格期間の終了する太陽光発電が
住宅用では2019年から
産業用では2032年から始まります。

どんどん電力が余っていく状態で、固定買取価格期間が終了する・・・・

これって、もはや発電事業としては終わっていますよね。

 

産業用太陽発電の買取期間を終了する2032年以降には、
ただみたいな価格でしか買い取ってもらえないのでは?

と危機感を募らせている方もおられるでしょう。

 

でも、果たしてそうなのか?
本記事では考えてみました。

電力線と太陽

●太陽光出力制御の原因は需要喚起ができていない?

太陽光発電がわずか3.7%しか占有していないのに電力が余ってしまう・・・
そもそもなぜなんでしょう?

もちろん考えるまでもなく
『太陽光の発電量が昼間に集中する』
という太陽光の特性によることが最大の原因であることは間違いありませんが、

これに対する解は1つしかありません。

『蓄電する』

ということです。

昼間の発電ピーク時の電力を蓄電して他の時間帯で電力供給すれば、
出力制御を回避することが可能です。

でも、蓄電池への投資もかかることですので
また別記事で取り上げてみたいと思います。

 

この他に、考慮しなければならない太陽光発電の出力制御の原因としては、
次のようなことが挙げられるでしょう。

①日本の電力需要の昼間の最低値が低い
(特に最低となる休日の電力需要)
②原子力発電の再稼働
③その他の電源の稼働事情

②は本来、非常に深く議論すべき内容だと思いますが、
経産省は常に原発の稼働率を震災前30年間の稼働実績で出力制御のシミュレーションをしていますので、
再稼働させる方向であることは間違いないでしょう。
参考記事:太陽光発電 出力制御について 各電力会社のリスク状況

したがって、もはやこの流れは止められない、ということだと思います。

③については、出力制御をする前に、
できるだけ止めるべき火力発電の発電量が適正なものか、とか、
水力発電も止めれる貯水タイプであるかどうか、
など地域の事情によりけりですので、どうしようもありませんね。

そこで本記事では①について考えてみます。
そんな中、日経新聞の2018年11月5日記事で、
電力市場活性化で太陽光抑制を緩和 大量導入への課題

という記事を見つけました。

 

この記事では
『電力卸売市場の活性化により、太陽光出力制御は避けられる』
という主旨のことが書かれています。

 

電力が余れば価格が下がり、需要を喚起できるはず、
でも、電力卸売市場が機能していないのでは?

ということです。

●電力卸売り市場の活性化が必要?

日本の電力卸売市場は、

日本卸電力取引所(JEPX)にて、日々運用されています。
実際に電力の自由取引を行う卸売り市場なわけです。

現状は、
・翌日分の電力を取引する「スポット市場」
・当日の1時間前に取引する「当日市場」
・次月分を先に取引する「先渡市場」

とありますが、スポット市場の取引が大勢を占めているようです。

 

もちろん、売り手と買い手に間で価格が折り合って取引が成立する
自由競争市場ですので、確かに電力が余って価格が下がれば需要が増えるはず、

というのはもっともな話に聞こえます。

 

しかし、太陽光の出力制御の場合、
晴れの日の発電量が増えるから電力価格が下がる、

ということになりますが、

このように突然スポット的に安くなったからといって
需要が上がったりするものでしょうか?

 

そもそも電力は貯めておけません。

したがって、
必要なときに、必要なだけを使用する、

ということが一般的な電力消費です。
安いからといって、不要な電力をわざわざ使いますか?

 

これが計画的ならば話は別です。

例えば、電力料金プランの中には
夜間電力の安くなるプラン、というのがあります。

このプランを選択する家庭では、
電力の安い夜間のうちに、

お湯を沸かしておこう、とか
携帯電話などのバッテリー充電をしておこう

といった選択もできるでしょう。これをもっと積極的に利用するならば

・エコキュートを導入して、電力を熱という形で蓄えておく
・家庭用大容量バッテリーを購入して夜の間に充電して昼間に使う
・EV車を購入して夜に充電する

といった投資も可能です。

 

しかし、突然前日に、〇月〇日の12時に1時間だけ電気代が半額になります、
といわれて、どこまで利用できますか?

ということです。

 

ですから、電力卸売り市場の自由競争原理だけに任せて、
需要を喚起を期待するのは難しいですよね。

でも、さらにいろいろ調べていくと
世の中には、ちゃんと考えている人がいるのだな~

と感心してしまいました。

以下に紹介していきます。

●電力システム改革と太陽光発電の方向性

近年、政府は、
電力の安定供給の確保
電気料金の抑制
事業者の事業機会と需要家の選択肢の拡大

を目的として、電力システム改革としての法改正を実施しています。

 

2016年4月の電力の小売全面自由化 はその一端ですが、今後さらに、
発電事業、送電事業、小売事業が分離され、自由化されていく中で、
様々なサービスが実施されていくでしょう。

 

JPEAが発表している資料『太陽光発電2050年の黎明』の中で、
下記のように太陽光発電に関係する技術や制度を示しています。

市場拡大に関する技術や制度

出典:JPEA『太陽光発電2050年の黎明』より

需要の能動化としては、デマンドレスポンス、VPP、アグリゲート、卸市場
というキーワードが記載されています。

アグリゲーターとは、需要家の電力需要をを束ねて
効果的にエネルギーマネジメントサービスを提供する企業や団体のことです。

電力小売り自由化の流れの中、
発電事業者と小売業者または消費者との仲介をしながら
電力マネージメントをする、新しい事業といえます。

そのアグリゲーターに期待されるのが、
電力の需給バランスを取るサービスを提供するデマンドレスポンスです。

 

例として、VPP(バーチャルパワープラント)と呼ばれる仮想的発電所という形で、
具体的な実験も各地で検討・実施されています。

VPPとは、
電力系統の中に分散配置されている設備(発電所、蓄電池、電力消費設備)を、
デマンドレスポンスやIoT(デジタルネットワーク技術)によって、
あたかも1つの発電所のように制御する、

といった考え方です(下記図参照)。

VPPの概念

出典:JPEA『太陽光発電2050年の黎明』より

 

実際にVPPの実験例として、
九州電力にて実施された壱岐島での太陽光出力制御に対して、
「仮想発電所」で太陽光の発電損失を回避 する試みが検討されています。

ここでは、『SBエナジーがアグリゲーターとして壱岐島内に点在する蓄電設備を遠隔制御し、
九州電力から同発電所に課せられる出力抑制分の電力量の供給先を創出していく。』

とされています。

具体的には、
九州電力から要請された太陽光発電所に対する出力制御量①

に対して、
その時点の蓄電設備の蓄電余力②

を使って電力需要を喚起・調整し、
実際の出力制御量を①ではなく、①-②に低減する、

というものです。

天気予報により太陽光の出力制御量は事前に予測できるでしょうから、
あらかじめ蓄電池の充電余力を最大化するように計画的に電力を使用する、
ということもアグリゲータが注意喚起して、
積極的・計画的に実施できるわけです。

 

こういった取り組みが各地で実現していけば、
電力卸売市場任せだけでは実現しない、

余剰電力の効率的な利用→出力制御の回避

も可能となってくるでしょう。

●さらなる自由化への取り組み  電力を直接売ってしまおう!

しかし、アグリゲーターや電力卸売市場における買取側の電力小売事業者を介在させる以上、
これらの事業者にマージンを支払う必要がありますので、
太陽光発電事業者にとって電力の単価は実はさほど魅力的ではありません。

実際の日本卸電力取引所(JEPX)でのスポット価格の平均値は
kWhあたり10~11円といったところです。

したがって、出力制御によって捨てる電力を減らせることは期待できますが、
余剰電力扱いの電力の価格はせいぜい10円以下、でしか値が付かないでしょう。

10年後、あるいは20年後に固定価格買取期間の終了した発電所でも同じことです。

 

しかし、アグリゲータや卸売り市場を介さず、
直接電力消費者に売ることができれば、事情は全く変わってきます。

ブロックチェーン技術を使用して、発電者が直接消費者に売る、
といったしくみが将来できあがるかもしれません。
(→日経エネルギーNext:電力会社が中抜きされる時代がやってくる

 

これが実現すれば、今各家庭での電力単価は23~25円ですから、例えば20円、
といった価格で優先的に買い取ってもらえる可能性があるのです。

 

2018年の産業用太陽光発電の買取単価はすでに18円、
2019年度はまだ決まっていませんがおそらく16円以下になるでしょう。

ここまで下がってくると、
各家庭と直接取引したほうがFIT買取よりも高く買ってもらえる、

といったことも期待できるかもしれませんね。

●まとめ

出力制御の実施、FIT買取保証期間の終了に対して、
どのように安定的に売電していけるのか?

という課題について、書いてきました。

結論としては、近い将来には、アグリゲータを介した電力調整サービスへの売電、
というサービスを受けることがその解になるのだと思います。

 

しかし、さらに将来として、発電者自らが直接消費者に売電する
といったシステムも実現されるでしょう。

産業用太陽光発電の買取保証期間が終了する20年後、の頃には、
今とは全く違った電力自由化によるサービスが提供されていくものと考えられのです。

また、その頃には
・蓄電池の大幅なコストダウン
・EV車の普及
・ロボット化による電力需要の増加
といった新技術もどんどん実用化されているはずです。

 

再生可能エネルギーの普及は、
2030年で22~24%(太陽光は7%)というのが経産省の目標値ですが、
これは単なる通過点です。

さらに普及させるためには、間違いなく今の出力制御問題、
さらにFIT買取期間終了後の太陽光発電事業の継続性に対して、
対策が講じられることは間違いありません。

 

常に情報を収集し、新しい制度や法令の施行なども含めて、世の中の動きを見ていけば、
必要以上に不安を感じる必要はないのだと思います。

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