九州電力で今年10月から出力制御が度々実施されています。

前回の記事では、太陽光発電の認定済の発電設備能力が
すでに2030年の経産省目標値に達してしまっていることを
確認しました。

今回、九州の出力制御事例をもとに、今後出力制御リスクの高い地域はどこか、
認定済設備能力を地域別に確認して、需要とのバランスをみてみましょう。

制限禁止

●出力制御とは

電力は需要と供給のバランスが崩れるとその周波数に狂いが生じ、
最悪の場合ブラックアウトと呼ばれる大停電を引き起こします。

各電力会社は、この需給バランスが崩れないように、
常に電力の日々の電力需要予測を行い、供給が需要を上回らないように
発電設備の稼働状況を調整する(すなわち一時的に停止する)のですが、
この調整を出力制御といいます。

→参考:経産省 『出力制御に関する法令等』

下記の図のように、電力需要の小さい日には、
日中に太陽光発電の出力がピークに達すると、
需要を供給が上回ってしまうので、
これをカットする(出力制御する必要がある)わけです。

 

電力出力制御概念図

出典:経産省

発電量の調整順番としては

火力発電→バイオマス発電→太陽光発電・風力発電→原子力発電・水力発電・地熱発電

というように、
一旦停止してしまうと再稼働するのが簡単ではない原子力発電を
一番最後まで動かすこととなります(下記図参照)。

出力制御優先順位

出典:経産省

 

出力制御が実施されると、その分は売電できませんので、
太陽光発電所のオーナーにとっては
収益が落ちてしまうわけです。

 

ここまででわかることは、太陽光発電の出力制御があるかどうかは、

・電力需要がどうであるか
・それに対して、ピーク発電時の太陽光発電による電力供給能力はどうであるか
・最後まで出力制御されない、原子力発電や水力発電の電力供給能力はどうであるか
・地域外への送電能力はどうであるか

によって、決まるといえるでしょう。

ただし、地域外への送電能力があっても、
受け入れ先の需要が十分でないとダメですので、

本記事では、
まず最低限の出力制御リスクの条件として、
電力需要に対して太陽光発電の能力が大き過ぎないか、

ということを確認してみることにしました。

●電力会社による出力制御の状況

ただし、電力の需給状況を確認するまでもなく、
すでに電力会社により、電力会社との接続契約の際に
出力制御の適用されるルールが設けられているところがあります。

電力会社によって、とはいうものの

東京電力・中部電力・関西電力以外の電力会社では、
出力制御対応パワコンの設置義務が課されており、
現段階で、すでにリスクの高いエリアといえるでしょう。
(東京・中部・関西電力管轄でも50kW以上の設備は出力制御対象)

 

しかし、現段階で出力制御対象でない
東京・中部・関西電力ででも、
今後、いつ出力制御をすることになるかわかりません。

そして、実際に出力制御が実行されるかどうかは、
あくまで電力需給状況によりますので、
以下で検証していきましょう。

●九州電力での出力制御

今年2018年の10月に、九州電力にて、
離島を除いては初めて太陽光発電に対する出力制御が実施されました。
(日経新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36461050T11C18A0MM0000/

実際、九州電力のホームページにて
『再生可能エネルギーの固定価格買取制度』に基づく再エネ出力制御に関する報告

を見ると、
10月13日(土)
10月14日(日)
10月20日(土)
10月21日(日)
11月3日(土)
11月4日(日)
11月10日(土)
11月11日(日)

11月14日現在で、実に8回もの出力制御が実施されたことがわかります。

実際に実施された11月11日の電力需要と太陽光発電量との関係を表したのが下記のグラフです。

九州電力11月11日電力需給グラフ

この日は、100万kWの再生可能エネルギーの電力が制御されました。

実施詳細は以下の通りです。

九州電力2018年11月11日ピーク時電力需給詳細

11:30~12:00の間で、
需要716万kWに対して、供給は1244万kW。

そこで余った電力をできるだけ有効利用するために
蓄電池や揚水運転に電力を226万kW蓄電して、
さらに、202万kWを九州電力外のエリアに送電したが、
それでも100万kW余ったので再エネ発電をその分止めた、ということです。

 

止めたといっても太陽光発電の場合、
太陽光パネルは実際に発電はしているのですが、
出力制御信号を電力会社から受けたパワコンディショナーで捨てることになります。

電力会社によってはこのような自動出力制御機能付きパワコンの設置義務を課している場合があります。

いずれにしても発電した分を捨てたことになりますので非常に資源の無駄だといえるでしょう。
なんのために再生可能エネルギーを普及させてきたのか、ということになります。

ちなみに九州電力によると、
11月11日の再エネのピーク発電量は563万kWですが、
設備容量としては9月末現在で、
太陽光発電が812万kW
風力発電が50万kW
合計862万kW

ですので、この時期の発電量は設備容量の65.3%ということになります。

日中の発電ピーク時間とはいえ、
太陽の位置が夏の時期に比べて低くなる分
太陽光パネルの発電効率は落ちており、
発電量はさほど高くないといえるでしょう。

また、設備容量の何%が発電に寄与するかは
パネルの設置角度や過積載率によっても変わりますので
発電所によってばらつきがでます。

しかし、この時期(10月~11月)の設備能力に対する発電比率は実績からみて約65%だと言えるでしょう。

 

電力需要716kWに対して、太陽光の設備能力はすでに812kWと超えていますが、
65%の発電量でしかない563万kWでも出力制御は実施されてしまいました。

ここにきて原子力発電が再稼働していることも
太陽光発電にとっては逆風といえるかもしれません。

いずれにしても、
設備能力がすでに電力需要を超えてしまっている九州電力管轄地域では、
出力制御は理論的にいつ発生しても不思議ではないと言えるでょう。

気になるのは、設備能力は今後、日本各地でまだまだ増設を控えている、ということです。

●地域別の電力需要vs認定容量

そこで、地域別の需要と、すでに認定済の設備容量の対比表を作成してみました。

認定済設備能力は、2018年3月末段階での能力です。
(経産省 A表 都道府県別認定・導入量(平成30年3月末時点) をデータとして使用)

 

電力需要としては、九州電力で出力制御が発生した時期と同じ
10月13日~11月11日の間で奇数日をピックアップし、
各電力会社から需要実績データをみて
11時~14時の3時間での1時間あたりの需要平均と需要min値を算出しました。
(奇数日のみをピックアップしたのは作業量が多いためです。)

実際、九州電力で出力制御が発生しているのは、
需要min値に近い土曜日および日曜日です。

そして、その需要実績に対して、認定設備が何%に達しているかを求めました。
(認定設備容量100%を使った場合と九州電力の実績発電量である65%を使った場合の2通りを記載しました)

ただし、各電力会社の管轄都道府県で一部の地域は
別の電力会社管轄に入っている場合があるようですが、無視しています。

結果は以下の通りです。

2018年3月末設備認定量vs2018年秋の電力需要表

作成:energy-twin.com

 

認定済設備能力の65%が発電量だとしたとき、
九州電力では需要min値に対して約110%の発電量です(グラフの一番右の列)。

これは、
仮に原発やその他の発電設備を全て停止したとしても出力制御は必ず発生してしまう
ということを表しています。

 

同じ見方をしたとき、
他の地域でも発電量が需要の100%を超えているのは東北電力です。
ここでも必ず出力制御は発生してしまうでしょう。

 

四国電力、中国電力は、まだ発電量は100%を超えていませんが、
設備能力としてはすでに需要を上回っていますので危険です。

 

それに対して、
北陸電力、関西電力、沖縄電力、東京電力、北海道電力は50%以下とまだ出力制御は起きにくい状況と言えます。

中部電力は、まだ発電量および設備能力ともに100%を超えていませんが、
危険水域に近づいていると考えてよいでしょう。

 

結論としては、
九州電力、東北電力への太陽光発電投資は現段階ですでにやめておいたほうがよい

ということになります。

●原子力発電の稼働を考慮してみると

出力制御は、太陽光発電の設備能力以外に、原子力発電の再稼働による影響を大きく受けます。

そこで、現在の原発の稼働状況を確認してみました。

原子力発電稼働状況マップ

出典:経済産業省

この稼働状況マップを見てわかることは、電力会社によって、稼働状況がずいぶん違うということです。

そこで、稼働状況を以下のように表にしてみました。

原子力発電稼働状況まとめ(2018年11月7日現在)

原発稼働に積極的なのはすでに原発を再稼働させている
九州電力、関西電力、四国電力 といったところなのがわかります。

四国電力の場合

四国電力は、太陽光の認定設備能力だけを見ていると、
まだ危険水域を超えていないように見えていましたが、
原発がすでに89万kW稼働していますので、再度考察してみましょう。

原発の平均的な稼働率は75%ですので、
原発による供給電力は67万kW

太陽光認定済設備による電力供給は、
認定済設備能力263万kW×秋の実績稼働率65%=171万kW

原発と太陽光を合わせた供給電力238万kWとなり、
四国電力地域の秋の電力需要min値222万kWを超えてしまっています。

したがって、四国電力では今後出力制御が実施されることになります。

中国電力の場合

中国電力は、認定済太陽光設備による電力供給が需要の71%に達しており危険水域にあるといえますので、
審査中の原発219万kWの原発が稼働した場合を考えてみましょう。

認定済太陽光による電力供給は
設備能力568万kW×稼働率65%=369万kW

原子力発電219kWによる電力供給は稼働率75%で164万kW

合計533万kWは秋の電力需要min値518万kWを超えてしまっています。

すなわち原発が再稼働した場合、出力制御は入ってしまいます。

関西電力の場合

特に関西電力は、稼働中の410万kWに加えて249万kWが設置変更許可を得ていますので、
更に原発による電力供給は増加する可能性があります。

仮に、関西電力のこの659万kW全てが稼働に入ったとすると、
原発の平均的な設備稼働率は75%程度ですので、
供給電力は494万kWとなります。

先ほどの表で見ると、
関西電力エリアの
秋の電力需要minは 1323万kW

太陽光の認定済設備能力は 639万kW
実際の稼働率を65%として供給電力は415万kW

ですので、原発が494万kW電力供給するとしても、まだ電力需要minを超えることはないと言えるでしょう。

東京電力の場合

原発保有設備能力の一番多い東京電力ですが、
今のところは再稼働に積極的ではありません。

仮に、保有設備の961万kW全てが稼働したとしても、

原発供給電力:961万kW×稼働率75%=721万kW
太陽光供給電力:認定済設備能力1724万kW×稼働率65%=1121万kW

となり、秋の電力需要min値2626万kWには遠く届きません。

したがって、東京電力エリアは、まだまだ太陽光発電への投資余地が高いと言えるでしょう。

中部電力の場合

中部電力は原発再稼働にはさほど積極的とはいえませんが、
保有設備能力362万kWのうち224万kWが審査中です。

原子力発電362万kWの供給電力は稼働率75%で272万kW

太陽光発電の認定済設備能力1048万kW×稼働率65%=供給電力681万kW

秋の電力需要min値は1111万kWですので、まだ需要を上回ることはないようです。

●対策のひとつ 域外への送電

経産省は2018年11月12日に出力制御を減らす対策として、
域外への送電量を増やす方針を示しました。

(参照日経新聞記事:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37644700S8A111C1EE8000/

域外への送電強化は、1つの対策ではありますが、
域外への送電といっても、
九州の隣の中国電力での太陽光発電能力もいずれ危険水域となりますので、
一時しのぎと言えるのではないでしょうか。

全国的に、余剰電力を自動的に足りない地域に送電しあうというシステムの構築が必要でしょうね。

●まとめ

すでに、東京電力・中部電力・関西電力以外の電力会社は
出力制御対象のエリアとなっており、
出力制御対応パワコン等の設置義務が課せられています。

 

しかし本記事では、
実際に出力制御が実行されるリスクについて、
地域別の電力需要と太陽光発電認定済設備能力から
実際に出力制御が実施されるリスクの高い地域がどこかを確認してみました。

九州電力および東北電力地域は、すでに太陽光認定設備能力が電力需要を上回っているため、
出力制御は間違いなく入ると言えます。したがって投資はしない方がよいでしょう。

原子力発電の能力を含めて考えた場合、四国電力および中国電力も電力需要を上回ってしまうため、
投資先としては考えないほうがよいと言えます。

その他の地域は、
太陽光と原発の能力から考えると今のところ出力制御の可能性は低いと言えますが、

各電力会社(東京・中部・関西電力を除く)から、
現段階での電力需給と出力制御量について
11月12日の
第18回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会 系統ワーキンググループ

にて資料が開示されています。

それによると、原発を保有していない沖縄電力を除き、
原発を稼働させる前提で出力制御は避けれない

旨の報告をしています。

 

これについては、
記事:太陽光発電 出力制御について 各電力会社のリスク状況

を書いてみましたが、
2030年段階では予想以上に大幅な出力制御が想定されていますのご参考ください。

 

また、今回の本記事は、2018年3月末段階での認定済の設備能力から考察しましたので、
今後、情報更新をしていきます。

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